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45度線の偶奇性は撃ち抜けない

「ユニコーン」の記事に載せた展開図の解説画像に、「45度線の解消」と書きました。今回はこのことについてまとめました。

下記URLは、45度線の解消と偶奇合わせについてのPDF文書へのリンクです。よろしければご覧ください。なお、2次配布して頂いても構いません。
ただ、One Driveでの公開とさせて頂きましたので、Windows7,8ユーザーでない方には不親切です、申し訳ありません。ですが、PDF文書をアップロードする方法が分からなかったのです。調べてみたところ、One Driveでの公開なら単純で俺にでも何とかできそうだったので、こうさせて頂きました。ご了承ください。

Cancellation and Pality of 45.pdf


PDF文書で発表するのは、この方が保存性が高いと考えたからです。それに、ファイルとして手元に残しておいた方が気持ちが良い気がしたので。
なお、ダウンロード出来ないけれどもデータが欲しい方がいらっしゃいましたら、連絡を頂ければメールなどの形で送付させて頂きますので、気軽にどうぞ。

なお、内容は以下の通りです。

・45度線の解消と偶奇性について
・神谷パターンなどを使った45度線の解消
・神谷パターンや神谷パターンの切断についての簡単な説明

ちなみにこの文書、休日を丸1日使って書きました。TeXとか障害は多かったけど、何とか書ききることができてよかったです。達成感が凄い。

それではこの辺りで。失礼いたします。
[追記2014/07/23]
Windows ユーザーでない方には不親切なので、以下にpdf文書と同じ文書を掲載します。アップロードした文書と異なるのは、画像の位置や行の幅などといったTeXとの違いによるものです。
それでは以下、45度線の解消と偶奇合わせについての文書です。この記事についてもpdf文書と同様に、コピペしたデータや印刷したものをほかの人にあげるなどの2次配布は自由に行っていただいて構いません。また、質問などあればご気軽にどうぞ。


45度線の解消と偶奇合わせ

はじめに

ベーシックな蛇腹での創作は、縦横に格子状に並んだ折り線と45度の線で展開図を構成するものです。こういった創作をする時に、45度線の処理に困ってしまうことがあります。
例えば、拙作「ユニコーン」の場合を見てください。図がその展開図です。

unicorn2.png

丸で囲んだ部分にある、3つ並んだ45度線は幅が1マス分しかなくて、狭くなっているのが分かります。こういう構造は他の部分と接続するのに非常に邪魔です。それを、この展開図では3本から1本に減らしているのがお分かりいただけると思います。
試作段階では、図のような状態でした。

unicornexp.png

すっきりした構造にするために、3つ並んだ45度線を減らす方法を考える必要がありました。では、どのようにして最終的な展開図の構造に至ったのでしょうか。
そもそも、何でこのような困ったことが起こるのでしょうか。その答えは、「蛇腹の45度線には偶奇があるから(蛇腹の45度線は偶奇性を持つから)」です。まずはこのことについて説明します。
本稿では、45度線の偶奇性について説明した後、その解消法の具体例を説明します。既に蛇腹創作を始めている方のみならず、これから始めたいと考えている方にも理解して頂けるよう努めたつもりですが、至らない点も多いかと思います。分かりにくいところや誤植などがありましたら、気軽にブログやTwitterなどで教えていただけるとありがたいです。

45度線の偶奇性

蛇腹の基礎となる、もっとも単純な構造は図のようなものです(赤線を山折り線、青線を谷折り線として見てください)。この構造は例えば、伝承作品の「にそうぶね」のヒダを半分に沈め折りした時に出てくるものです。

nisoubune.png

この様な構造を基本として蛇腹作品を創作するのですが、図示するときに一々このように書いていたのでは手間で仕方ありません。そこで、図のように略記することがしばしばあります。

box5.png

ここでもこのように略記することがあることを注意しておきます。慣れると、この略記法に加えてヒダの向きをどうしたいかという情報(どのようなカドを折りだしたいかという情報)があれば元の展開図を復元できるようになります。
なお、この略記法に領域分けの印も加えたものを横分子図と言います。横分子図は、横分子蛇腹法での設計に用いられる図です。また、領域分けとはつまりどのようなカドを折りだしたいかという情報に他ならないので、横分子図からは元の展開図を復元することができます。そのため、横分子図はしばしば良い略記法として用いられます。蛇腹での本格的な設計をしてみたいという方は、横分子図から展開図を書くことと、逆に展開図から横分子図を書くこと(こっちのほうが簡単です)の練習をすると良いでしょう。
今現在Web上に横分子蛇腹法のしっかりとした解説はおそらくないので、ここではなるべく横分子蛇腹法を既知としないような解説をしていきたいと思います。

[追記2014/7/24]
小松英夫さんによって、2014年現在閲覧できなくなっている目黒俊幸さんのウェブサイト付属の掲示板(2001年~2008年)の過去ログのまとめがなされました! 大変参考になるのでぜひ。
http://origami.gr.jp/~komatsu/etc/meguro-bbs-log/index.html
蛇腹の展開図上では、45度線を自在に折り曲げることができます。例えば、図のような感じです。

box7.png

それぞれの構造を実際に折り畳んでみると、生えてくるカドの形が違うのが分かります。このことは横分子蛇腹法ではとても大切なことなのですが、ここではあまり深入りしないことにします。
本稿で重要視したいのは、「45度線は折り曲げることができる」ということです。このことを利用すると、例えば図のような場合に、2つの45度線を繋げることができます。赤線が元々あった折り線で、青線が新たに付け加えた折り線です。

box8.png

これが45度線の解消です。元々2つあった折り線を1つにできたのですから、構造がシンプルになって嬉しいですね! 45度線は図に示した通り、色々な場所で繋げて解消することができます。
ただし、注意が必要です。上にも書いた通り、45度線を折り曲げると構造が変わってしまうので、元々欲しかった構造とは異なる構造になってしまうことがあります。そのため、「どうすれば欲しい構造にマッチする45度線の解消を考えられるか」という疑問が生まれるのは自然なことです。ですが、ここではその問いに完全に答えることはできません。横分子蛇腹法の領域だからです。理解を深めたい場合は、色々な場合について実際に構造を考えて折ることを繰り返すのが良いかと思います。何回もやっているうちにだんだん分かってくるかと思います。
さて、冒頭に挙げた「ユニコーン」の45度線の解消については、まさにこのような場合であることが分かります。3本並んでいる45度線のうち真ん中の線は無視して、残り2本の線を繋げることで解消することができるのです。そのようにして解消したのが完成形の展開図という訳です。なお、ここでも45度線をどの位置で繋げるかという問題が発生するのですが、他との構造の親和性を考えた結果、完成形のような形になりました。
さて、これまでに挙げた例では、45度線を折り曲げることでうまいこと45度線を解消することができました。ところが、それではうまくいかない場合があります。例えば図のような場合です。

box9.png

この場合、45度線をどのように折り曲げてもうまくつなげることができません。この原因こそが冒頭で述べた「45度線の偶奇性」です。
ここで、45度線を折り曲げることを考えましょう。注意深く観察すると、45度線を折り曲げた時に、折り線の先端が縦と横に移動した距離の合計は必ず偶数になることが分かります。どういうことでしょうか?
例えば、45度線の解消の時の図を見てください。赤線が元々あった折り線で、青線が新たに付け加えた折り線でした。赤線の先端から青線の先端まで、縦の距離が0、横の距離が4なので足して4と、確かに偶数になっていることが分かります。
縦と横に移動した距離の合計は必ず偶数になります。実際にやってみてください。縦の距離を偶数にすれば横の距離も偶数になるし、縦の距離を奇数にすれば横の距離も奇数になることが分かるかと思います。
実は、このことが45度線が偶奇性を持つ本当の理由なのです。一応、定理の形で書いておきましょう。

定理(45度線の偶奇性の正当化)
格子状のマス目の2つの頂点を、折り曲げた45度線によってつなぐことができたとする。この時、またその時に限り、この2つの頂点の縦方向と横の方向の距離の合計は偶数である。

[証明]折り曲げた45度線の最小単位を考える。この線の2つの端点は縦方向に1、横方向に1だけ離れている。この2つの端点の縦方向と横方向の距離の合計は2と、偶数である。よって、この最小単位によって構成される折り曲げた45度線の、2つの端点の縦方向と横方向の距離の合計は、確かに偶数となる。




さて、この定理により、蛇腹の展開図上の格子点を「偶」と「奇」の2つに分類することができます(数学的には、同値類による商集合をとることができる、ということです)。図は、45度線によって繋ぐことができるような蛇腹の展開図上の点同士を、同じ色で塗ったものです。例えば、赤い点を「偶」、青い点を「奇」と呼ぶことにするのです。

pality.png

_人人 人人人人_
> 突然の手書き <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

この観察から分かることがあります。「偶」の点と「奇」の点は、決して45度線によって繋ぐことができません。
また、45度線はどのように折り曲げようとも「偶」の点あるいは「奇」の点のどちらか一方のみを通ります。なので、「偶」の点を通る45度線自体を「偶」の線、「奇」の点を通る45度線自体を「奇」の線と呼ぶことも出来ますね。
これにより、先に挙げた例ではなぜ45度線で繋げることができなかったのかわかります。片方の線が「偶」で、もう片方の線が「奇」だったからなんですね。実際、それぞれの線上の点はどこをとっても、必ずその縦方向と横方向の距離の合計は奇数になっています。
さて、それぞれが「偶」と「奇」の45度線は、45度線を加えたのでは解消できない理由がわかりましたが、では何とかして解消してあげることはできないのでしょうか? 実は、45度線以外の線を添加すれば可能なことがあります。以下ではそのことについて見ていきましょう。

等分数を倍にすることによる解消

それぞれが「偶」と「奇」の45度線を解消するには、どうしたら良いのでしょうか? 1つのアイディアは、「両方「偶」の線にする」というものです。これは至って単純なアイディアで、蛇腹の等分数を倍にすればよいのです。
例えば、図のように。何のことはない、こうすればいとも簡単に偶奇が合いました。

bai.png

ところが、これには問題点があります。そりゃそうです。蛇腹のヒダが増えたら大変です。もし今48等分で作品を作ってたとしたら、これにより96等分になってしまうのです。こりゃあ大変だ。
ですが、全体の等分数を丸ごと倍にせず、一部だけ倍にする方法もあります。それが「幅変換」と呼ばれる手法です。この手法もなかなか面白いのですが、ここでは例を1つだけ上げるだけにして、これ以上深入りはしないことにします。

habahenkan.png




神谷パターンによる解消

それぞれが「偶」と「奇」の45度線を解消する別な方法として、神谷パターンを使う方法があります。
まずは神谷パターンの基本構造を見てください。

kamiya.png

傾き2,3の折り線でできた平行四辺形状の折り線から、4つの45度線が伸びているのが分かるかと思います。この45度線は、偶奇が異なるのが分かると思います。これは使えそうですね!
このことを利用したのが、神谷パターンによる45度線の偶奇性の解消です。例えば、図のようにします。

kamiyakaisyou.png

この方法を使えば、等分数を倍にせずとも解消することができますね。ところが、この場合についても、45度線で繋げた場合と同じように、欲しかった形とは違う形になってしまうことがあります。ですので、欲しい形を得られる可能性を増やすために神谷パターンの折り方の可能性も増やしておいた方が良いですね。
神谷パターンを構造に組み込むときは、次のようにすると良いかもしれません。まず、傾き2,3の折り線で平行四辺形状の折り線を作ります。次に、その平行四辺形の頂点から45度線を伸ばします。その後、傾き3/4の線を平行四辺形の内部に適当に加えてやれば完成です。傾き3/4の折り線を加える方法は、具体例を通して慣れるのが良いでしょう。図は、様々な種類の神谷パターンの書き方を示したものです。

kamiya2.png

よく見ると、45度線の偶奇が一致しているものもあります。傾き2の折り線の基本単位が偶数個の場合に、45度線の偶奇が一致します。なぜならば、傾き2の折り線の基本単位は、その両端の縦方向と横方向の距離の合計が奇数になるからです。基本単位が偶数個になれば、その両端の縦方向と横方向の距離の合計も偶数になります。逆に言えば、傾き2の折り線の基本単位が奇数個の時、その両端の縦方向と横方向の距離の合計は奇数になるので、45度線の偶奇は一致せず、偶奇性の解消に用いることができることが分かります。
なお、傾き3の折り線は偶奇性を解消できるかどうかという問題に関係がありません。なぜなら、傾き3の折り線の基本単位は、その両端の縦方向と横方向の距離の合計が偶数になるからです。
少し難しい話になってしまったかもしれません。偶奇性について実験を交えながらよくよく考えてみれば、だんだんと理解できると思います。

神谷パターンを使うと、上記の場合以外にも45度線の解消をできることがあります。例えば、冒頭で述べた45度線が3つ横に並んでいる場合です。この場合は図のようにすると解消することができます。

kamiyakaisyou2.png

ところが、これが適用できる条件は、45度線を繋げることにより解消できる条件と同じです。なので、これはあまり実用的ではないかもしれません。強いて言えば、45度線の解消に加えて、変わった形の面を折り出したい時には有効かもしれません。神谷パターンを使った場合を実際に折ってみると、変わった形の完成図になると思います。
ちなみに、ここではしっかりとした紹介はしませんが、神谷パターンは様々な応用を持った良い構造です。今回紹介した45度線の偶奇性の解消の他にも、例えば

・紙の使用効率の向上、重複領域の解消
・長さの異なるカドを折りだす
・トゲなどを折りだすために小さいカドをたくさん折りだす
・変わった形の面を折りだす

などがあります。


神谷パターンの切断による解消
神谷パターンは前節で述べた通り、様々な利用法があります。ですので、他の部分で既に神谷パターンを使っていた上で、45度線の解消の必要に迫られるというのも十分考えられることです。そう言ったときには、神谷パターンの切断という構造が有効な場合があります。
神谷パターンの切断とは、図のような構造です。

kamiyacut.png

平行四辺形を途中で切ることで、新しい位置に45度線が生えてくるのです。この新しく生えてきた45度線が、解消に役立つという訳です。
実際に解消する具体例を挙げておきます。図のような感じです。

unicorn3.png

なお、この神谷パターンの切断という構造は、(おそらく)元々はヒダの向きを変換するためにσさんによって考えられたものです。これは例えば、図のようにすることで細かい棘を折りだすのに用いることができるのです。

kamiyacut2.png

共通思想

これまでに、3種類の方法で45度線の解消を見てきました。それらの方法は異なるものでしたが、共通することもあります。それは、「45度線以外の線を加える」というものです。45度線だけでは偶奇の違いが生まれてしまうので、別な種類の線を加えてみようという思想が根底にあるのです。このことを意識しておけば、ここに書いたどの方法が適用できない場合でも、45度以外の線を加えるという方針を立てて考えれば、新しい解消法を見つけることができることでしょう。もし見つけた場合は、ぜひ連絡して頂けるとありがたいです。

終わりに

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。皆さんに蛇腹創作を楽しんで頂けたら、これに勝る喜びはありません。

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レオンハルト

Author:レオンハルト
創作折り紙や折り紙設計理論をやります。
数学や小説なども好きです。
なお、当ブログはリンクフリーです。リンクして頂いた場合、お礼を申し上げたいので連絡を頂けるとありがたいです。

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